栄養自体は、もちろん全般的に多く摂取することに越したことはないと思うのですが、妊娠や胎児の状態の赤ちゃんにとって特に重要な栄養素は、葉酸の他には、下記の4つです。
ビタミンB6:
米国産婦人科学会(ACOG)によって、つわりの症状を緩和する第1選択薬として推奨されているのがこの成分。ちなみにアメリカで普及しているつわりの薬は、ビタミンB6が10mgに、睡眠薬(抗ヒスタミン薬)を加えたものになっています。その薬は寝る前に2錠、症状がひどいときはさらに朝と昼に1錠づつ飲むものなので、1日20mg~40mgのビタミンB6摂取というのが一つの目安になるでしょう。
ビタミンB12:
葉酸とともに赤血球を作るのがこの成分。お腹の赤ちゃんにとって特に重要な成分は、血と骨なので、血液を作る成分の1つであるビタミンB12は、最重要成分の一つです。
鉄分:
血液の材料となるのがこの成分。特に妊娠の中後期にかけて貧血になる妊婦さんが多いようです。後述の厚生労働省による鉄分摂取推奨量も、妊娠中後期にかけてかなり多くなっており、それが普段の食事だけで取れるような量ではないため、サプリでの摂取が重要になってきます。
カルシウム:
言わずと知れた骨の成分。赤ちゃんの骨を作る重要ミネラルです。これも後述しますが、女性の普段の食事のカルシウム摂取量だと、厚生労働省の推奨量に全く届いておらず、多くの妊婦さんが、サプリでの摂取を必要とすることになるかと思います。
以上のビタミンB6、ビタミンB12、鉄分、カルシウムですが、平均的な女性が、1日にどれくらい取っていて、1日の推奨摂取量がどれくらいなのかがわかると、サプリでどの栄養素をどれくらい取るべきなのかというのが見えてくると思いますので、それを下記にまとめようと思います。
20歳~39歳の1日あたりの栄養素摂取量に関しては、厚生労働省の「平成25年国民健康・栄養調査概要」を元に、栄養摂取の推奨量に関しては、同じく厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」をベースにしてまとめます。
20-39歳女性の1日平均摂取量 | 18-49歳女性の1日摂取推奨量 | 妊婦の1日摂取推奨量 | 授産婦の1日摂取推奨量 | サプリで補うべき1日の栄養量 | 1日の上限摂取量 | |
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葉酸(μg) | 217~233 | 240 | 480 | 340 | 400~520 | 900~1000 |
ビタミンB6(mg) | 0.89~0.92 | 1.2 | 1.4 | 1.5 | 20~40 | 45 |
ビタミンB12(μg) | 4.6~4.8 | 2.4 | 2.8 | 3.2 | 0 | なし |
鉄分(mg) | 6.2~6.7 | 6.0~6.5 | 21~21.5 | 8.5~9.0 | 15 | 40 |
カルシウム(mg) | 405~441 | 650 | 650 | 650 | 250 | 2500 |
上記、一番右の「サプリで補うべき1日の栄養量」というのが結論なのですが、単純に一番多い摂取推奨量-平均摂取量にしていないので、その部分に関して補足しますね。
まず、葉酸に関しては、妊婦や授乳婦に対する摂取推奨量が、日本人の食事摂取基準に記載はされているものの、よく読むと、これは貧血防止の観点からの推奨量のようです。
そもそも、葉酸摂取で一番重要なのは、胎児の先天異常を防ぐことであって、その観点でいうと、食事の他に1日400μgのサプリによる摂取を厚生労働省が推奨をしているので、そちらの基準でサプリでの葉酸摂取すべき量を設定すべきと考えます。以上の理由で、サプリで補うべき1日の栄養量を400μgとしました。
次にビタミンB6に関してですが、これはつわりに効果があることということで、米国産婦人科学会が、つわりの第1選択薬として推奨をしているもので、その用量が1日20mg~40mgとなっているので、その値を数値として採用しています。
ビタミンB12は赤血球を作る大事な成分ですが、平均的な食生活をしている女性なら、既に足りているとのことなので、サプリで必ずしも摂取する必要はないでしょう。
鉄分は、特に妊娠中後期で足りなくなって貧血になる方が多いので、そのときの必要量21.5mgに合わせて1日15mgをサプリで補うべき栄養量としました。
カルシウムは、妊娠時期に追加で摂取することを厚生労働省が推奨しているわけではありませんが、慢性的に約250mg不足しているようなので、これをサプリで補うべき栄養量としました。
以上を考慮して、葉酸サプリを選ぶとよいのではないかと思います。